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山崎隆のシェアハウスで幸せになる方法

シェアハウスの入居者の募集と総合的な運営戦略

入居者の募集は、前述のポータルサイト(ひつじ不動産など)を活用するのが基本ですが、管理会社の中には自社サイトが充実している会社もあります。
そういった私的なネット上のインフラが利用できると非常に便利です。

大手ポータルサイトには、標準化された一定の画像公開の基準があり、自由に物件の魅力を紹介することは、完全には不可能です。
従って、当該物件のオーナーが自費で物件紹介サイトを作成するという方法もあります。フェイスブックなどを活用することも可能です。

面白いのは、ウェブ上での競争力を自助努力で向上させる、ということ。
こういった考え方は従来は無かったことです。すべて不動産業界のインフラに丸投げしていたというのが現状です。
そうなると標準化された、大雑把な、質の低い情報が垂れ流されていた訳です。
せっかくの優良物件が企画されたとしても、その魅力が伝わらない。

民泊向けサイトの「エアビーアンドビー(airbnb)」であっても、このような環境は同じであり、これからは、自らのウェブの活用法次第で不動産の運用成果が変わってしまう時代となる、という認識を持つことが大切です。

さて、ここで、シェアハウスの管理と運営をする上での主な注意点を5つ挙げてみましょう。

まず1つは、管理会社の選定は慎重にしたい。
前述したように、管理会社にも得手不得手があります。その会社は管理を本業としてやっているのか?それとも実は建築工事やリフォームがメイン業務なのか?あるいは設計事務所が副業でやっているのか?見極める必要があります。

究極的なところは「本当に問題解決能力を持っているのか?」ということ。そういった視点で管理会社を査定する必要があります。
片手間で管理をやっているような会社も多いので注意が必要です。シェアハウスの管理とは「コミュニティ環境の管理」ということなのですから、そこは要注意です。

2つは、プランニングです。
現在、新しいシェアハウスが各地で続々と竣工しています。今まではシェアハウスの供給が少なかったので競合はありませんでした。ちょっと気が利いたものが完成すれば、入居者がすぐに決まった時代でした。それどことか、多少劣悪な企画による物件でも、なんとか入居者がいました。

しかし、これからは、そう簡単には行かないかもしれません。やがて、マーケット環境は変わっていくでしょう。
優れたプランニングによるシェアハウスが、何の魅力も無い既存のワンパターンなワンルームを駆逐しながら進撃していくのは想像に難くないのですが、次の段階では、やがて魅力的なシェアハウスどうしの競合も起こるでしょう。

そうなったときには、充実した共用空間を抱え、かつ良好なコミュニティ環境が形成されている物件こそが勝者となります。
クリエイティブで魅力的な共用ゾーンのプランニングが物件の優位性を左右するということは言うまでもありません。

3つは、リスクマネジメント。
従来のワンルームのアパート経営には既に限界が見え始めています。立地によっては賃料の下落がとまらないエリアもあります。そんなエリアでも銀行は融資をしてくれます。審査の流れが標準化され、ルーティン化されているからです。

しかし、シェアハウスへの銀行からの融資は始まったばかり。審査も厳しく金利も高いかもしれません。現時点で銀行は「理解不能なのでリスクが高いかもしれない。要注意な不動産投資だ」と見做しているのです。
まあ彼らは素人なのです(私からすると従来のアパート経営の方が、よりリスクが高いと感じているのですが…)。

これは、従来のアパマン経営でも同じことなのですが、結局のところ「最悪の運営状況に陥った場合に、どう対処するべきか?」という命題に対して事前に熟考、検証しておくことがポイントです。所詮、建築会社は良いことしか話してくれません。

リスクマネジメントの本質は、最終的には「どんな事態に陥っても借金が返済できるか?」という「財務的な戦略に帰結する」ということです。
もちろん、プロジェクトが破綻してしまうような場合は「保証債務など民事的な戦略にも帰結する」のですが、まあ、まずは財務的な戦略を怠らないことです。

財務とは、一つは“キャッシュフロー(収益性、フロー)”の問題であり、もう一つは、“流動性(又は換金性、ストック、バランスシート)”の問題です。
安全サイドから見た稼働率はどう予測すべきか?あるいは安全圏にある適正な負債額の規模はいくらか?最悪の場合の撤退戦略、つまり“出口戦略”をどうするか?
そういった諸々の課題をクリアーしながら、不動産投資における総合的なリスクマネジメントを行うべきでしょう(まあ、これは従来の不動産投資やアパート経営でも同じなのですが)。

シェアハウスの最大の強み、出口戦略とは、やはり「換金性」だと私は考えます。
逆に言えば、換金性が難しい企画、設計は避けたい。収益物件として売却するか、又は一般住宅として売却するか、どちらにせよ計画は周到に準備されなければならないと考えます。

4つは、投資に有利なエリア選定に失敗しないこと。
前述したように、これからの住宅においても「シェアハウスとして活用しても、貸せるか否か?」ということが、大きく資産価値を左右する時代へと突入しました。
収益性が不動産の資産価値を決定する。すなわち、シェアハウスとしての評価の鍵こそは、あの収益還元法の考え方となるのです。

実際、エリア選定をする場合は、一般論としては、ファミリータイプの賃料相場とワンルームの賃料相場の単位面積あたりの単価のギャップが激しいエリアが有利なのですが、そうなると災害リスクや流動性(換金性)のリスクを抱えることになるかもしれません。
不動産投資の意思決定には、より高度な次元でのプライオリティ(優先順位)の判定を多角的に何度も何度も繰り返していく必要があります。リスクとリターンのバランスが大切なのです。

5つは、プロジェクト単独の出口戦略と全体のバランスシート戦略。
土地の有効活用をするにせよ、不動産投資をするにせよ、誰もがはじめに人生設計をしておかなければなりません。
そして、人生設計に合わせたバランスシートの設計と出口戦略を十分に練り上げておくことが大切です。場合によっては不動産投資の失敗を一定の想定としておくべきでしょう。

「そんな失敗なんて、する訳ない…」。そう考える人は、初心者、素人です。
失敗することを想定していない投資とは、まさに“ギャンブル”なのです。
撤退を想定していない戦い方では、ガダルカナル島のようになってしまいます。
むしろ、失敗を想定している方が失敗しないものなのです。それは、選択肢が多いということですから。

そして大局的には、企画や設計の善し悪しの問題以上に「自分の人生設計における理想のバランスシートの設計はどうあるべきか」という点を忘れてはなりません。

「自分にとって理想のバランスシートとは何か?」。あるいは「自分の家族、子々孫々にとって理想のバランスシートはどうあるべきか?」。それをロジカルに突き詰めて欲しいのです。

シェアハウスを活用して財産形成することの意味を考えてみましょう。
でも、その場合の本質的なキーワードは、やはり“汎用性”に尽きるような気がします。一種の全天候型の資産であるということが、最大のメリットになるからです。

そこが、他の不動産投資や土地活用との大きな違いです。

「他人に貸せる、他人に売れる、自分でも住める」。
この三要素のバランスが高位に取れている不動産こそはシェアハウスなのです。
要するに逆なアプローチをして、マイホーム購入を例に出すならば、「シェアハウスに転用できるマイホームか否か」、あるいは「マイホームに転用できるシェアハウスか否か」が個人の財産形成の重要な尺度になる時代が来ているのです。

公開日:2016年6月29日

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