山崎研究室

山崎隆が語る「不動産と相続の教養講座」

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第3回 「再び、白金高輪2」 編

平成24年8月某日

前回の物件が完成した。
完了検査の立ち合いに行って来た。
再び、白金高輪2 再び、白金高輪2 再び、白金高輪2

私のテリトリーは東京圏という世界的にも巨大な都市圏である。
だが、あまりに巨大なので、すべてが得意エリアという訳ではない。
どうしても得意なエリアというものが出来てしまう。

それは、やはり都心だが、三鷹市など中央線沿線も得意なエリアだ。
神奈川なら、東横線沿線が一番か。
藤沢、茅ヶ崎、鎌倉なども好きなエリアなのだが、
津波のリスクに苦慮している。

一方、千葉や埼玉は、難しい。
賃料が低いエリアでは、何をどうやっても難しい。
そういう時代になってしまったのだ。

巷には、何も考えていない企画が氾濫している。
だが、住居系だろうと、商業系だろうと、
まず始めに収益還元法を意識せずに、すべての企画は成立しない。
特に、流動性(換金性)まで意識すると、そうなる。

収益還元法を知らないデザイナーの設計が悲劇を呼ぶ。
建物を建てるという行為が、投資と同義語だということに気づかない。
無知は、罪と言える。

私が企画監修した物件の特徴は、一見、分かりにくい。
要するに、地味で、外見的にメリットが見えない。
真のノウハウとは、そういうものだ。
間取りだったり、素材だったり、床下の設備だったり、壁の中の構造だったり…。
そういうものは外からは、見えない。
再び、白金高輪2 再び、白金高輪2 再び、白金高輪2

完成したのは、
個人的な趣味で遊び過ぎてしまったデザイナーズ系ではなく、
不動産の鑑定理論やマーケティングを応用しつつ、
練りに練られたデザイナーズ系のRCである。
経済合理性とリスク管理の両面から極めた物件である。
設計事務所だけに任せると、トンデモない建物ができてしまうことがあるが、
そのようなミスを防ぐだけでなく、究極の目的合理性を目指したのだ。
これが「最有効使用」の概念なのである。

つまり「貸せる(収益価格)、売れる(比準価格、限定価格)」だけでなく、
「手間やランニングコストが掛からず」も重要なのだ。
防水一つとっても建物の構造計画が関係しているという視点が欲しい。
再び、白金高輪2 再び、白金高輪2

不動産投資は、できれば新築が良い。
なぜかと言うと、リスクを極力抑えられるからだ。
マーケティングから、設計、施工、リーシングまで、
すべて内容が把握できるからだ。
もちろん地盤など地中構造の状況も把握できる。
これは耐震性を左右する。
再び、白金高輪2

世の中には、建築確認や検査済み証があっても、
手抜き工事など、山のようにあるのだ。
保険に入っていても、修繕が出来るだけで、
根本的な改修はできない。
再び、白金高輪2 再び、白金高輪2

私は、コテコテの現場に居た人間なので、
そういう現実を熟知している。
再び、白金高輪2再び、白金高輪2再び、白金高輪2

幸か不幸か、私のクライアントは、皆、なぜか私よりも賢明である(当たり前だ....) 。
私が企画監修した物件の方がリスクが小さいと知っている。

一般的には中古物件の方が、瞬間風速の利回りは高い。
だが、それが未来まで続くとは限らない。
間取りの流行り廃りもあるし、
ランニングコストの問題もある。

新築は、稼働年数が長いのがメリットだ。
10%の利回りが15年続いたあと建て替えになるのと、
5%の利回りが50年続いたあと建て替えになるのと、どちらが良いか。
よく考えてみたいものだ。

特に、もしも途中で売却する場合には、築年数が浅い方が売り易い。
あまりに古いと、次の購入者にローンが付かないからだ。
ローン期間は、概ね、法定耐用年数マイナス築年数のローン期間になる。
これが投資用ローンの査定方法なのだ。
一般の住宅ローンと違うところだ。

よって、どちらかというと不動産投資は新築をお薦めしたい。
しかしながら、その場合それなりに自己資金が必要になる。
自己資金が少なくて中古でやりたい人は、十分に物件をチェックすることだ。
利回りに釣られると、大抵は失敗するから、気を付けた方が良い。
そんなに良い物件なら前オーナーが手放す訳ないのだから。
再び、白金高輪2 再び、白金高輪2 再び、白金高輪2

自画自賛になってしまうが、
この物件は、非常に良くできたと思う。
最近では珍しくキャピタルゲインが狙えるエリアでもある。

南麻布エリアに隣接した白金エリアは、昨今は変貌著しいエリアである。
渋谷川から古川沿いにかけては、かつては町工場が密集するエリアだった。
それが、住宅街に変わりつつあるからだ。
広大な郵政省の官舎の建て替え計画も検討されているので、
ここが再開発された場合の環境の変化は劇的だろう。

さらに、泉岳寺付近、すなわち品川~田町間では、
山の手線の新駅が開業するだけでなく、
JR東日本による大規模な再開発も計画されている。

もちろん現状でも利便性は抜群なので問題ないのだが、
将来のオマケが付いている物件なのである。

円高で苦戦する製造業の海外進出が東京の街を変貌させている。
そして、震災後、さらに不動産マーケットは激変した。

そこに、キャピタルゲインのチャンスがある。
都心には、白金だけでなく、そのような街がたくさんあるのだ。
不動産投資をするのなら、それを見抜く眼力を持ちたいものである。
再び、白金高輪2

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