相続リスク対策(遺言・遺産分割・介護・成年後見・民事信託)
子は、老いた親が亡くなるまでに様々な問題に対処しなければなりません。
介護だけでなく、財産の管理も問題になります。認知症になることもあります。
これらの問題は成年後見制度によってカバーすることもできます。
ですが、運用面でのトラブルの多さも否定できません。任意後見を除き、裁判所の監視下に置かれるからです。
簡易な方法ですが、代理行為の範囲を明確にして公正証書を作成し、
それをもって資産を管理するという方法もあります。
一定の資産規模があれば、民事信託や法人設立という選択肢もあります。
同時に、親の意識がはっきりしているうちに遺言書を残して遺産分割案を決定しておくという方法もありますが、ここでは大きな注意が必要です。
「遺言書を書けば遺産分割のトラブルを未然に防ぐことができる」。
一般的には、そのように喧伝されています。
特に、金融機関やFP系のコンサルタントなどが(私共もFPですが)ことのほか遺言を推奨しています。
でも、話はそんなに単純ではありません。
例えば、債務がある人の相続は、どうなるのでしょうか。
債務は相続人が共同で相続するものです(債務は分割できませんので…)。債権者の承諾も必要です。
- 土地は、どうやって分けるのでしょうか。
- 土地は、建築基準法によって、下手に分割したら価値がなくなってしまう場合もあります。
- 土地は、資産価値が落ちないように分割してから分筆しなければなりません。
ですが、分割後の土地に公平な接道条件を整えるのは困難が伴います。
そして、最も厄介な“遺留分”という問題もあります。
遺留分の算定に使う評価額は、民法上は“時価”で換算します(路線価や固定資産税評価額ではありません)。
遺留分は、計算法によって大きな誤差が生まれますが、権利を侵害された相続人にそこを突かれたら係争の原因にもなります。
贈与を使って節税を推奨する税理士も少なくありませんが、贈与された財産は、民法上の扱いでは相続財産の一部となるので、遺留分の計算時には合算されます。
税法上は3年が期限ですが、これは民法とは異なるので注意が必要です。
相続争いは民事事件ですので、民法の知識に疎い税理士が係争を助長してしまう可能性があります。
たとえ遺言書があっても、相続争いが起きて裁判沙汰にでもなれば、トラブルは防げません。
その現実を知っておくべきではないでしょうか。
遺言書の最大の効果とは何か。
それは、権利の移転や不動産の登記が比較的すみやかに出来るということです。
唯それに尽きます(但し、不動産の場合、効果的に登記できる状態が整備されているか否かは問いません。それでも遺言書は作れます)。
要するに、遺言書があっても、必ずしもトラブルが防げる訳ではないのです。
「遺言書があればトラブルが防げる」という、巷に流布されている風説には、まさに致命的な矛盾があるのです。
この現実は、実務家なら誰でも知っているような類いの話ですが、様々な利害団体や営利組織の思惑が、その正しい知識の流布を妨げています。
このようなことでお悩みの方へ
- 将来、相続争いが起こらないような遺産分割案を検討したい。
- 相続争いが起こるかもしれないので遺言書を検討したい。
- 介護中の親の財産の管理が難しくなってきたので、悩んでいる。
- 地方で一人暮らしをしている高齢な親がいるが、詐欺や犯罪に巻き込まれないか心配だ。
- 離れて暮らす親の財産を適切に管理して、親が安心して生活できるようにしてあげたい。
遺言・遺産分割・介護・成年後見・信託業務のフロー図
具体的なご提案内容
- 相続や財産管理の問題は、関係分野が複雑多岐にわたるものです。
不動産や金融などに係わるノウハウだけでなく、法務や税務を含めた統括的な資産経営を行う必要があります。
当社は、相続に精通した弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士らとプロジェクトチームを編成し、最適な資産管理の仕組みを構築し、円満な相続までのシナリオを提案致します。