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山崎研究室
鉄道の歴史から辿る山崎隆の都市文明講座
第17回 「神楽坂」 編 (平成26年5月某日)
久しぶりにJR駅の「飯田橋」に降り立った。
この駅は「神楽坂」商店街の入口にある。
旧帝国陸軍の司令部や軍需産業で栄えた中央線の主要駅の一つである。
周辺には東京理科大、上智大学、法政大学などもある。
旧警察病院跡地は、三井不動産が再開発しているが、
それが“飯田橋サクラパーク”である。
中央線沿線は、中野駅の北側でも再開発が行われ、
帝京大学、明治大学、早稲田大学などが新校舎を構えている。
私の大好きなキリンビールも本社を中野に移転した。
中央線の強みは名門大学が多いことである。
名門大学が多いということは、良質な若者が集まってくるということだ。
これは廃れない街の最重要の要件だ。
雨が降りそうなので、足早に神楽坂の商店街に入る。
表通りに関しては、かつて花街だった面影は薄く、
ファストフード店やチェーン店が目立つ。
かつて大人の街だった神楽坂も、今や若者の街である。
途中、気になる陶器の店を発見。
招き猫の匂いがしたので、店に入る。
予想通り“ニャンニャン”がいた。
何を隠そう、私は“招き猫マニア”である。
(たまに綾波レイや初音ミクの置物も収集している)
店を出ると、なぜか頭の中はお花畑になっていた。
足取りも軽く、最終目的地のレストランまで散策を続ける。
路地裏を曲がると風情のある料亭や旅館が軒を連ねる。
毘沙門天にも立ち寄る。
境内には藤棚があり、美しく咲き誇る。
「こんにちは、毘沙門天様。私は“とってもヒドイの神”です」と挨拶をする。
この“とってもヒドイの神”というのは、
アシスタントが私に付けたニックネームである。
超マイペース、というか、単なる我がまま。
人の話を聴かない、というか、思いっきり自信過剰。
他人には厳しいが、自分には甘い。
理論肌だが、理論が理解できない人を切り捨てる。
そして、常に神のように威張っている。
…等など様々な特徴を象徴するニックネームなんだそうで、
自分でも気に入ったので、花街で行動するときの源氏名にしている。
とはいうものの、私は、本当にそんなに“ヒドイ人”なのだろうか?
ときどき心配になるが、たぶん愛のあるジョークだろうと思う。
まあいい。そんなことを気にしていても仕方がない。
私の辞書には「反省」という言葉など無いのだ。
さて「神楽坂上」付近の交差点に差しかかる。
ここは昔、細木数子の事務所があった場所だ。
私は、占いで幸せになれるとは思わないが、
シャンパンでは幸せになれると思う。
なぜなら、歌舞伎町での細木の豪遊は有名で、
ホストクラブでドンペリを空けまくっていたと業界の知人から聞いている。
私はドンペリは嫌いだが、シャンパンは好きだ。
細木と私は、もしかすると似た者どうしなのかもしれない。
実際、シャンパンは、占いよりも効果があるのだ。
だって、飲めば、すぐに幸せになれるでしょ?
さて、神楽坂にはフランス料理店が多い。
飯田橋の周辺は、教会が多く、フランス語の専門学校もある。
最近まではフランス系のインターナショナル・スクールもあったので、
何かとフランスに縁があるのだ。
今回の最終目的地のレストランもフレンチである。
馴染みの店の名は「ラターシュ」というのだが、
実は、私のクライアントが神楽坂にマンションを買ったので、
お店の紹介を兼ねて、お祝いをしようということになったのだった。
クライアントがマンションや一戸建を買う動機は様々だ。
これから結婚するので新居が必要だ。
子供が小学校に入学するまでに希望の通学圏内に家が欲しい。
賃貸に住み続けるのは、お金がもったいない。
社宅の利用期限が切れるので、そろそろ自分の家が欲しい。
定年退職するので家を買い替えたい。
だが当社への依頼案件では、そのすべてに財産形成というテーマが加わる。
そして最近、徐々に増えているのが、単身者がマンションを買うケースだ。
特に、女性の単身者に人気があるのが、世田谷区や渋谷区ではないだろうか。
三軒茶屋や代官山がその代表格だろう。
だが「神楽坂」もお薦めである。
神楽坂という街は、単身者にも住み心地が良い。
もちろん買い物は便利だが、それ以上にお洒落な飲食店が多く、
ちょっと寂しい単身者が暮らすには、好都合な街である。
神楽坂は、個人的にも私の好きな街の一つである。
それから暫く歩くと店に着いた。
笑顔が怪しいマスターに挨拶をして店に入る。
いつものようにシャンパンとワインによる酒盛りが始まった。
皆、マンション探しの苦労話を肴に時を忘れて騒いでいる。
単身女性のマンション購入コンサルティングの依頼も増えているが、
もしかして彼女らは男性よりも不動産の資産価値を頼りにしているのだろうか。
近頃の女性にとって男とは、資産ではなく、負債なのかもしれない。