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山崎研究室
近代史と鉄道から語る山崎隆の都市文明講座
第13回 「鉄道博物館」 編
平成23年5月某日
日本の街は、鉄道とともに発展してきた。
そう言っても過言ではないだろう。
人気沿線の街にある不動産は値段が高い。
逆に、不人気沿線の不動産は値段が安い。
鉄道の利便性が、街の発展や経済力までをも左右してしまう。
つまり、街の歴史は、鉄道の歴史と言い換えることもできるだろう。
鉄道は、主要都市の歴史を語る上で絶対に欠かせないファクターなのである。
そこで私は、鉄道を研究しようと思い立った。
だが、鉄道については、ズブの素人である。
私は、誰もが認めるオタクなのだが、なぜか鉄道には縁の無い人生を送って来た。
小学生の時は、昆虫マニアと爬虫類マニア。
中学生から高校生までは、ミリタリーマニア。
高校生からは音楽マニアで、バンドのドラム奏者だった。
大学生になると、海中生物のマニア。
社会人になると、なぜか、アニメのマニア。
今は、攻殻機動隊とエヴァンゲリオンのマニア。
だから、綾波レイのマニアでもある。
エヴァンゲリオンの影響で、箱根の温泉マニアにもなってしまった。
音楽が好きなので、最近は、なぜか初音ミクのマニアにもなってしまった。
招き猫の収集家でもある。
私は、生まれつきの、先天性オタクなのである。
だから、マニアックな性格が要求されるコンサルタント業は、
実は、天職なのである。
だが、それなのに、それなのに、鉄道には縁がなかった。
ということで、今日から鉄道マニアになることにした。
面白そうだし、仕事の役に立つかもしれないし…。
ということで、まずは、大宮の「鉄道博物館」に行くことにした。
大宮からシャトルに乗って、博物館に着いてみると、施設は広大だった。
あまりに広大で、その規模に圧倒されてしまった。
次々と展示品を見ては歩き続ける。
豪華な列車を見つけた。
おお、畏れ多き我が先輩の御乗り物ではないか。
天皇陛下の御召し列車の中は、こうなっていたのか。
続いて、鉄道開通当初の汽車と客車、青函連絡船の模型…。
特急列車や新幹線、車両のサスペンション…。
あまりに展示品があり過ぎて目が回る。
とても一日ではじっくり見て回れない。
時計を見ると、もうすぐ営業時間も終わってしまう。
事前の予備知識が全く無かったので、何を、どう感動すれば良いのか。
つまり、知性的な感動の仕方が分からない。
このままでは「スゲー!懐かしい!」と動物的に叫んでいる原始人類に過ぎない。
というよりも、無知な、単なるアホなオッサンに過ぎない。
展示物の何もかもが、深く理解するには、私に知識が足りないのだ。
「ここに来るの、ちょっと早かったのかも…」。私は、そう気づいた。
もっと鉄道の歴史を学んでから、もう一度、出直すことにしよう。
よって、今日のところは、パンフレットや解説書を買って帰ることにした。
そして私は、博物館の土産物売り場で解説書の立ち読みをしているうちに、
井上勝という偉大な人物の存在に気づくのである…。