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山崎研究室
近代史と鉄道から語る山崎隆の都市文明講座
第1回 京王井の頭線「浜田山」 編
10月某日(土曜日)、午後3時。
久しぶりに浜田山を訪れた。
井の頭通りの裏手の駐車場に愛車を止めて、駅に向かう。
途中、BMWやポルシェのディーラーがあったが、この街には、お似合いだ。
井の頭線の浜田山は、戦後、高度成長期の初期から発展を始めた街だ。
いわゆるアッパーミドル層のホワイトカラーが多く住む街である。
シックな一戸建やマンション、駅の近くには有名なタウンハウスなどが建ち並んでいる。
この街の周辺は緑が多い。
住まい関係のアンケートなどでも、「住んでみたい街」としても人気がある。
だが、線路をまたいで駅前に広がる商店街は、意外にこじんまりとしている。
それとも、この時間帯は、夕飯の買い物客などで賑わっているはずもないので、どこも、こんなものかもしれない。
否、昨今なら賑わっている方か。
可愛いケーキ屋さんがあったが、辛党なので、興味が無い。
とりあえず通行人の風貌を観察する。
皆、お行儀が良く、育ちの良さそうな人々だ。
主婦らしい女性も、真面目に働くご主人を支える、真面目な妻という雰囲気だ。
でも、全く危険な香りがしない。
いまどき、健全過ぎるぐらい健全だ。
不倫などしないのだろうか。
まあ良い。
そんなことは、どうでもいい話だ。
不倫と街の将来性との相関関係は統計的に証明できない事柄だ。
そのまま、しばらく徘徊し、街を歩き続ける…。
面白い光景を見つけた。
浜田山には珍しく下品な5人の集団を発見した。
コンビニの前の路上、地べたに座って飲食をしている学生たちがいる。
おそらく中学生だ…。
最近は、ジベタリアンは、どこにでもいるので驚かないが、ここ「浜田山」のジベタリアンは、少々、違った。
ナント!食べたモノのゴミを、きちんと分別している。
浜田山のジベタリアンはお行儀が良い。さすがだ。
家庭や学校での教育がきちんとされている。
一流ホワイトカラー層、おそるべし…。
そういえば、浜田山小学校での「ビオトープ」作りの記事を思い出した。
この街の子供は、小さな頃から街のエコロジーを学びながら、良家の教育を受けている。
心身ともに健やかに子育てをしたい人には、最適な街なのだ。
そんな光景に驚きつつ、やがてメタボリックな疲れを癒すために古風な喫茶店に入る。
駅前の風景が見下ろせる2階の窓際に座る。
隣の席には、定年退職後の、かつてはエリートらしき男性が座っている。
白髪まじりの風貌は、やはり上品だ。
品格を感じる。
ファッションは、アイビー系だ。
何やら読書をしている。
内容が気になるが、エロ本ではないことは、確かだ。
紅茶も飲み終わり。
さあ、もう帰ろうと思う。
井の頭通りを上って原宿まで…。
途中、イスラム教のモスクがあるので、見学しに立ち寄りたかったのだが、今日はもう遅い。
また今度にしようと思う…。