山崎研究室

山崎隆が語る「不動産と相続の教養講座」

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第4回 「賃貸住宅経営のアフター・フォロー」 編

平成24年12月某日

今回は賃貸住宅経営のアフター・フォロー業務で千葉県の佐倉市を訪れた。
ここは、十数年前からお付き合いをさせて頂いているお客様のご自宅である。
賃貸住宅経営のアフター・フォロー

以前、都内で広い一戸建にお住まいだったのだが、
サラリーマン生活のリタイアを機会に、それを他の資産を組み換えたのである。
そして、都心に収益用不動産を購入し、千葉県の佐倉市に自宅を購入した。
今や悠々自適のセカンドライフを過ごしていらっしゃるのだ。
私は資産の売却から資産組み換えまでのシナリオづくりなど、
適切な収益物件の選定と管理までをトータルでコンサルティングさせて頂いた。

今日は、賃貸管理会社の担当者の方と一緒に、
今後の不動産の運用計画について色々とアドバイスをしに来たのである。

私は、久しぶりに天野さん御夫婦にお会いした。

ご挨拶を済ませた後、一見して益々お元気なご様子が見てとれて安心した。
ご主人はよりダンディに、奥様はより美人になっていた。
さらに、ご主人のお母様もご挨拶に出て来られて誠に恐縮だった。
賃貸住宅経営のアフター・フォロー賃貸住宅経営のアフター・フォロー

それにしても、このお母様は、もうすでに、かなりご高齢なはず。
(実は、ご年齢を知っているのだが、言えない…)
なのに、なぜか、むしろ若返ったような気がするのだが、気のせいだろうか?

人は、資産運用に成功すると、若返ったりするのだろうか?
摩訶不思議だ。どう考えても、あまりに元気過ぎる。

そこで恐れながら私は、その理由を尋ねてみた。

すると、その答えは「大好きな庭いじりを毎日しているから」とのこと。

確かに、自宅は、都心では得難いほどの広い庭の一戸建である。
その大きな庭を覗いて見ると、草木が優しく植えられていた。
賃貸住宅経営のアフター・フォロー

なるほど、そういう訳だったのか…。
私は、一人で頷いていた。
そして、すぐに本日の目的である打ち合わせを始めた。

昨今の悩みは、賃料が下落傾向なので憂慮しているとのこと。
都心の一等地ですら、全般的に弱含みなのである。

私は、ひと通り現状マーケットの説明をして、
今後の対応策について色々と総合的なアドバイスをした。
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すると、その途中で奥様からこんな言葉が発せられた。

「それが“出口戦略”なのですね」と…。

「はっ?」。私は、心中で驚嘆の声をあげた。
まさか専業主婦の口から「出口戦略」という言葉が出るとは…。
これは、もともと外資系ファンドマネージャーが多用していた言葉だ。

恐るべし、専業主婦から賃貸経営の兼業主婦への変身…。

「そ、そうですね、このケースでは様々な出口戦略が考えられます」。
「安心して下さい。選択肢が多いということは、リスクが無いということです」。

私は平静を装って、そのように結論付けた。
そして、とりあえず、私のすべき仕事は終わった。
この後は、大槻さん(管理会社の担当者)からの状況報告と空室対策の提案だ。

私は、お茶やらコーヒーやらを飲みながら大槻さんの隣で話を聞いていた。
だが、不謹慎ながら、ちょっと退屈になってきた…。
「大槻さんの話、長いんだよなあ~」。
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私は、真面目に話を聞いていなければならないと思いつつも、
なぜか、お茶と一緒に提供された数種類の“おやつ”が気になってきた。

特に、美味しそうな国産のピーナッツが気になる。
賃貸住宅経営のアフター・フォロー

千葉県、特に八街市のピーナッツは有名だ。
八街市は、ここ、佐倉市の隣の市なのである。
周辺は、ピーナッツ畑だらけなのだ。

やはり千葉県のピーナッツは世界一だ。
毒だらけの中国産のピーナッツとは比較にもならない。
国産のピーナッツは健康や病気の予防にも効く。

嗚呼、堅い皮に覆われた可愛いピーナッツが微笑んで僕を呼んでいる。
妄想の中でピーナッツの妖精たちが舞っている。

私は、当初、煩悩に克てない自分に自己嫌悪を感じてはいたが、
やがて、いつものようなナチュラルな自分が好きになった。

もう、私の仕事は終わったのだ。あとは、大槻さんに任せれば良いのだ。
そう思った瞬間、私の手はピーナッツの方へと伸びていた。
賃貸住宅経営のアフター・フォロー

嗚呼、ピーナッツ、ピーナッツ、ピーナッツ…。
私は、ピーナッツを食べるためにコンサルティングをしているのだ。

結局、黙々とピーナッツを食べ続けることとなった…。
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しばらくすると、大槻さんと天野さんとの打ち合わせが終わったようだ。

私は、なぜか妙に満足感に溢れていた。
さあ帰ろう。もう、夕方というよりも、夜になりそうだ。

ピーナッツ畑に囲まれた千葉県佐倉市での暮らしは、楽しそうだ。
ここから都心に出ようと思えば、ドアツードアで1時間半ぐらいか。
別に、そんなに田舎という訳ではないし、成田空港も近い。
リタイア後に頻繁に海外旅行をしたいのなら、むしろ、とても便利なのだ。

都心に収益用不動産を所有して、そこから家賃収入を得る。
その一方で、物価も安く、自然の豊かな環境で、田舎暮らしをする。

そんなセカンドライフは、人生の理想形の一つだと思う。

私にとって、悠々自適なお客様の笑顔は何よりも励みになる。
安心の人生設計には、自由な発想とイマジネーションが必要である。
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