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山崎研究室
山崎隆が語る「不動産と相続の教養講座」
第2回 「再び、白金高輪1」 編
平成24年7月某日
「山崎隆は文筆家なので現場の実務をしていないのではないか?」。
「銀座のホステスの尻ばっかり追っかけているのではないか?」。
そのような巷の疑惑に応えるために、
今回は、私が実際に企画監修をした現場を訪れることにした。
私は、意外にも、まじめに現場の仕事をしているのだ。
銀座は、某取引先の社長が大好きなので、仕方なく行ってしまうだけだ(と思う)。
余談だが、もともと私は、かつては某財閥系住宅メーカーの営業マンだった。
昭和から平成にかけて(バブル時代)に約7年間サラリーマンをしていた。
だが、その仕事内容は何かと言えば、
銀行から顧客情報を得て、地主をアパートローンで借金漬けにすることだった。
バブル時代は、まだ個人情報保護法も無かったので、
銀行の顧客情報の扱いも、非常にアバウトだったのだ。
もう時効だから言ってしまうが、
私が顧客情報を得ていた銀行名は、
三井信託、住友信託、三井、長銀など、
まあ錚々たる銀行だった。
彼らのコンサルティングがどんな程度のものかも熟知している。
お抱えの税理士と一緒に節税セミナーをやり、借金漬けにするのが目的だ。
もう20年以上も前の話だが、要するに、
当時の銀行のコンサルティングのレベルは最低だったのだ。
「借金も財産です…」って?
んな訳ねえだろう。アホちゃうか…。
彼らが欲しいのは、唯々、融資残高と不動産の売買仲介だ。
実は、信託銀行の遺言業務もその延長上にある。
債権者が債務者の顧客の遺言を執行するんて、笑止千万ではないか。
それって、間違いなく「利益相反」だろう。
この程度のロジックの矛盾に気づかない者は、
資産運用だの、投資だの、お金については語る資格は無い。
まあいい。それは昔の話だ。
今の銀行は、昔よりは真面目にやっているだろう。
銀行とは仲良く、相思相愛でなくっちゃ…。
特に、自称コンサルタントなら…。
話を戻そう。話が長くなってしまった。
要するに私が、かつて悪徳銀行の手先だったことを、
恥ずかしながら、この場を借りて、カミングアウトしたという訳なのだ。
あの頃の罪悪感が、独立系のコンサルタントという道を選ばせたのかもしれない。
さて、今回の現場は、南北線「白金高輪」駅から徒歩7分のところである。
5階建の賃貸マンションである。
最初に更地の土地から取得して、後から建てる方式で、
最も面倒臭くて時間が掛かり、かつ利回りが悪い方式なのだが、
資産家は、それでも満足する場合がある。
資産家は、一般的にリスクを取らない。
だが新築ながら、ネットの利回りは、
サブリース後でありながら5%以上で仕上げているのだ。
これは新築ワンルームマンションの利回りよりは高い。
設計事務所も、ゼネコンも、一流を使っている。
この一流の定義は、良い仕事をするという意味である。
単純に、有名という意味ではない。
「悪かろう、安かろう」で利回りを上げても意味はない。
従って、どこかの陳腐なプレハブ住宅でもない。
堅固なRC(鉄筋コンクリート)である。
その堅固な状況をこの目で確かめに来た。
工程としては、上棟のようなタイミングなので、
屋上の防水まで終わって、開口部やサッシュが塞がれた状態だ。
ベテランの工事関係者のメンバーとも打ち合わせもした。
外構造園工事の詳細もこれで最終的に決まった。
港区の白金という立地における投資用物件の最有効使用とは何か。
それを次回、お伝えしたいと思う。