〒101-0032
東京都千代田区岩本町3-4-9
TEL:03-5839-2632
FAX:03-5839-2642
山崎研究室
山崎隆が語る「不動産と相続の教養講座」
第5回 「マンション資産価値セミナー」 編
弊社業務の一つに「ハウジング・サポート」というカテゴリーがある。
当初、この業務は資産家向けのサービスを目的としたものだった。
資産家が節税兼投資用として区分所有マンションを取得するためのサポート業務だったのだ。
もちろん、このマンションとは区分所有のワンルームではない。
あくまでもファミリータイプの区分所有マンションである。
一般論として、ワンルームへの投資は建物の質が低いのでお薦めできない。
管理組合も機能しないので余計な維持管理費が掛かる。
一方、都心のファミリータイプは、実需用だけでなく、投資用としても優れている。
なぜかと言うと換金性が高いからだ。ワンルームと異なり、空室になっても高値で売れる、
というか、空室の方が高値で売れることが多いのも魅力だ。
そういう訳で私は、原則として、特に専有面積の狭いワンルームを扱わない。
今年3月に決定した税制改正により平成27年からは相続税が益々厳しくなる。
その影響か、資産家ほど都心のマンションを欲しがるという傾向が
このところ非常に顕著になってきている。
都心一等地の区分所有マンションの節税効果の優位性は際立っている。
賃貸用のマンションの相続税評価額は、概ね、時価の20%~40%前後まで下がるからだ。
地方都市の資産家や地主層にとっては、都心一等地のマンションは垂涎の的となっている。
私は、マンション探しのサポート業務を平成12年頃から、
つまり「マイホームは貸せる物件を買いなさい」を出版したあたりから続けてきた。
だが、最近、ある変化が起きている。
普通のサラリーマン層(資産家ではない)からのコンサルティング依頼が急増しているのだ。
「資産価値のあるマイホーム(=都心の優良マンション)を探して欲しい」という業務の依頼件数が
急増しているのだ。目的は、節税というよりも、財産形成である。
「自分の勤める会社は、もうアテにならない。年金も、アテにならない」と誰もが口にする。
「だから、不動産(=マイホーム)で失敗したくない」という。
この問題は切実だ。
仮に景気が一時的に良くなったとしても、将来への不安は、そう簡単に払拭できるものではない。
そんな訳で、昨今の私は「マンション探し」に大忙しなのだ。
「山崎式マンション探し」のプロセスの特徴を整理しておこうと思う。
これは、まず街選びからスタートすることにある。
そのロジックについては「東京のどこに住むのが幸せか?」や、
その続編の読者ならご理解頂けると思うが、
一応、読者でない人のために、以下にそのプロセスを説明しておく。
コンセプトは「家を買う前に、まず街を買え」ということだ。
①ライフプラン、職業、年収、相続関係などをヒアリングする。
②どんなエリアや街で物件を探すべきかを決定する。
③特定されたエリアや街、立地等から物件情報を集める。
④候補となる物件を書面(チラシ等)のみで一次選別する。
⑤選別された物件を「不動産の鑑定理論」(後述する)を使って検証する。
⑥バリュー(収益価格)とプライス(売値、又は比準価格)との乖離を調べる。
⑦対象物件が「最有効使用」で適正価格ならば、取得を前提に現地調査等を開始する。
⑧建物の残存耐用年数や修繕履歴など、ハード、物的事項の調査をする。
⑨管理組合の資金力など、ソフト、質的事項の調査をする。
⑩公図、隣接地や周辺の都市計画等を調査する。
⑪重要事項説明書、契約書、その他書類をチェックする。
要するに、購入者の立場になって一緒にマンションを探すのである。
ダメ物件と優良物件の違いや特徴などを把握、説明しながら、一緒に探す。
物件ごとに一緒に調査をしながら、本当の資産価値の姿を認識する。
そして、納得してマンションを選ぶ。
これは非常に重要なことだ。
一般的な消費者は「騙されながらマンションを選ぶ」ということが多いのではないだろうか。
液状化したり、地盤沈下したり、水害にあったり、その他様々なリスクのある立地に建つマンションを
「資産価値の高い立地にある物件」だと喧伝している不動産業者は今でも多い。
明らかに衰退しそうな郊外の街に建つマンションが「お買い得の物件」だという不動産業者もいる。
私は、率直に申し上げる。「そんな訳ねーだろ!」と。
資産価値の高いマンションとは何か。再度、この命題に疑念を持たなければならない。
これは資産家にとっても、普通のサラリーマンにとっても、死活問題なのだ。
さて、そこで重要になるのは「正しい情報がどこにあるのか?」ということである。
某住宅広告雑誌に登場する専門家の意見は正しいのか。
著作の多い住宅評論家の言説なら正しいのか。
不動産広告だらけの新聞記事の編集者の視点は正しいのか。
これらを、すべてを疑ってかかるべきであろうと私は思う。
というか、いつものように、はっきり明言してしまおうと思う。「嘘、欺瞞、詐欺だ」と。
所詮、彼らは、不動産業界と癒着した広告屋たちである。
まあ、そもそも広告というものが、そういうものなのだ。
価値が無いモノを、できるだけ高く売るための洗脳か。
所詮、無料の情報に価値など無いのは当然だろう。
ならば、どうすれば、一般消費者が騙されないようになれるのか。
本当に正しいロジックは、どこにあるのか。
もしかして、まさか、あの独善的な山崎隆の本をすべて精読しなければならないのか。
ということは、あんな輩の本の購入のためにお金を払わなければならないのか。
安心して欲しい…。
そんな馬鹿げたことは、たぶん、しなくても善い、かもしれない。
ここに、朗報がある。皆さんには、とても貴重な朗報だ。
実は、この山崎隆が大嫌いな人でも、正しい情報が、なんとタダ(無料)で手に入る。
それは、ちゃんと国家にオーソライズされたものである。
つまり、それは「不動産の鑑定理論」のことである。
でっ、それは、どこで手に入るのか。
なっ、なんと、それは不動産と建設業界とメチャ癒着している国土交通省のサイトに公開されている
(癒着していても、内容は正しいのでご安心を)。
さて、ここで是非とも「不動産鑑定評価基準」という資料をダウンロードして欲しい。
本当に貴重な情報がタダで手に入るのだ。
そして、ちょっと難解だが、じっくりと熟読して欲しい。
何度も精読すれば、たぶん、誰でも理解できるはずだ。
で、熟読すると、何のことはない。
至極に真っ当なロジックばかりが書いてあることに気づく。
「そんなの当たり前じゃん…」ということが延々と書いてある。
が、しかし、一般消費者にとっては、この当たり前な事実を今まで知らなかったのではないだろうか。
この国土交通省のロジックは、もちろん山崎式ロジックには到底及ばない。
我田引水で申し訳ないが、事実なのだから仕方がない。
実用性に難点があり、特にリスクプレミアムという未来リスクの定量化についての視点が欠落しているからだ。
だが、それでも、基本的な考え方は全く同じであることに変わりは無い。
ネタをバラすことになるが、山崎式とは、この国土交通省の考え方を進化させたものに過ぎないからだ。
但し、もしかしたら一般的な消費者には、言葉が難解と感じるかもしれない。
「最有効使用」だの、「同一需給圏」だの、「収益価格」だの、「比準価格」だの、
「限定価格」だの、「積算価格」だの…。
これらは非常に重要な概念でありながら、素人には、お経か呪文に見えるかもしれない専門用語が飛び交う。
だが、内容自体は単純なのだ。
この単純なロジック、不動産の鑑定理論を、皆さんに平易にお伝えできないか。
もし、いくら熟読してもチンプンカンプンな人がいるのなら、やっぱり解説してあげなければならない。
私は、そう思ったのだ。
ということで、国土交通省の資料を教本にして、そこに私なりのオリジナリティを盛り込んで、
セミナーを開催することにした。
これが、「マンション資産価値セミナー」なのである。
そして「本格派、辛口(日本酒の宣伝ではない…)」のセミナーを実施した。
結果は、会場が狭かったこともあり、たぶん大盛況だったような感じがしている。
有料(1万円)であったにもかかわらず、アンケートでは「大変役に立った」というコメントばかりであった。
誰もが「大絶賛」をしてくれた(ようだ)。
だが、私にとって最も嬉しかったことは、1万円の受講料が「高い」と感じた人が、
おそらく皆無だったことである。
モノや情報の価値は、受け取る側の知性に左右される。
受講者は、全員、インテリだったということになる。
つまり「猫ちゃんに小判」にならなかったということだ。
これで私は、ホッとした(でも、ウッシッシッ、次回は値上げしちゃおうかニャ~)。
不動産価格の二極化が叫ばれて久しい。
全国各地では、街が衰退し、土地の値段も下落し続けている。
人口も減り続け、女性の初産の平均年齢は30歳を超えたという。
婆さんのような女性の初産が日常化するのだろうか。恐ろしい話だ。
そうなると、全国の空き家戸数は、そのうち、すぐに1千万戸に達するだろう。
不動産価格の将来は、今後も楽観できない。
マクロ経済的に見れば、超インフレにでもならない限り、不動産の値下がり傾向は続く。
これは間違いないだろう。
「不動産を買う」という行為が、超ハイリスクな時代になったということだ。
だが、その一方で、都心一等地の不動産だけは、なかなか下落しないという現実も知るべきだろうと思う。
現状では、アベノミクスや相続税の増税の影響で値上がり傾向にさえあるのだ。
これは、東京という都市のインフラが世界的にも評価されているという証左である。
やりたい放題の中国も、大嘘つきの韓国も、そのうち化けの皮が剥がれるだろう(もう、剥がれているか…)。
そして、圧倒的な国力を持つ日本の中心地、東京という街の優位性が再評価されるようになる。
これからの時代は、外人投資家に評価されるエリアの物件が値上がりするという現象が、
より顕著になる。
というか、既に、欧米系だけでなく、台湾系も活発だ。
いずれにせよ、不動産で失敗したら人生のやり直しは難しい。
不動産は、それだけ高額な商品なのだ。
にもかかわらず、いまだに、リクルート社や日経新聞などは、平然と嘘の情報を、
しかも御用評論家を使って流布させようとしている。
消費者にとって重要なリスク情報を報道しない。
伝えないという行為は、これは不作為という。この場合、不作為は、法律的には有罪ではないだろうか。
たとえば、あの有名な三井不動産でさえも、新浦安の液状化の件では訴えられている。
にもかかわらず、リクルート社も日経新聞も、自称リベラルの旗手たる朝日新聞ですら、
沈黙を続けている。
去勢された家畜たちよ。君たちに良心は無いのだろうか。
私は、ひどく悲しい…。
こんな世界にあって、正しい知識を学ばずに行動することのリスクの大きさに、
まずは皆さん自身、気づいて欲しいのだ。
必ずしも、すべて私が正しいという訳ではない。また、そういう自信も無い。
だが、既にオーソライズされている国土交通省の「不動産鑑定評価基準」ぐらいは、
サラリと理解しておいて欲しいのだ。
この程度の基礎知識は、すべての国民にとって絶対に必要なのだから。